ジェイソン・ワッサーマン医学博士 FRCPC 博士およびズザンナ・ゴルスキ医学博士
2026 年 4 月 3 日
結腸の腺癌 腺癌は、最も一般的な大腸がんの種類です。大腸の内壁を覆う腺細胞から発生します。これらの細胞は通常、便が大腸を通過するのを助ける粘液を分泌します。これらの細胞に遺伝子変異が蓄積し、制御不能に増殖すると、腺癌と呼ばれる腫瘍が形成されます。
この記事では、病理検査報告書の内容を理解するのに役立ちます。用語の意味、数値が示すもの、そしてそれぞれの情報があなたの治療にとってなぜ重要なのかを解説します。
ほとんどの大腸腺癌は、大腸内壁の細胞にDNA損傷が蓄積するにつれて、時間をかけてゆっくりと進行します。これらの変化はランダムに発生したり、生活習慣の影響を受けたり、遺伝したりすることがあります。多くの場合、癌は、非癌性の増殖である大腸癌から始まります。 腺腫 or ポリープ そして数年かけて癌へと進行する。
重要な危険因子には、大腸ポリープや癌の個人または家族の病歴、遺伝性疾患などが含まれます。 リンチ症候群 (これはミスマッチ修復遺伝子の遺伝的変異によって引き起こされ、大腸がんのリスクを大幅に高める)または 家族性大腸腺腫症(FAP) (治療しなければ数百個のポリープとほぼ確実に癌になるリスクを引き起こす)そして長年 炎症 潰瘍性大腸炎やクローン病などの疾患により大腸に腫瘍が発生することがあります。赤身肉や加工肉を多く摂取し、食物繊維が少ない食事、運動不足、喫煙、過度の飲酒もリスクを高めます。腫瘍にミスマッチ修復欠損が見つかった場合(下記のバイオマーカー検査を参照)、リンチ症候群の有無を評価するために医師は遺伝カウンセリングを勧めることがあります。これは、本人および家族に影響を与える可能性があるためです。
結腸腺癌は、初期段階では症状が現れないことが多い。腫瘍が大きくなるにつれて、便秘、下痢、便の形状変化といった排便習慣の変化、直腸出血や便への血の混じった便、腹部の不快感、膨満感、疼痛、原因不明の体重減少、そして疲労感や脱力感といった症状が現れる。 貧血 (腫瘍からの慢性的な出血により赤血球数が減少する状態)。症状は腫瘍の大きさや位置によって異なります。排便習慣の持続的な変化や出血の兆候が見られる場合は、医師に相談してください。
診断は、組織サンプルを顕微鏡で検査した後に行われます。 病理学者サンプルは通常、大腸内視鏡検査中に採取されます。 生検 不審なエリアまたはその一部として ポリープ切除顕微鏡下では、正常な腺構造が悪性に見える腺や腫瘍細胞に置き換わり、結腸壁のより深い層に浸潤している場合に腺癌と診断されます。腫瘍細胞は通常、肥大した不規則な核を持ち、粘液を産生することがあります。
生検で診断が確定したら、手術を計画する前に、CTスキャンなどの画像検査を用いて、がんがリンパ節や他の臓器に転移しているかどうかを判断します。大腸内視鏡検査中に生検またはポリープ切除を受けた場合、 大腸内視鏡検査の生検報告書を理解するためのガイド また役に立つかもしれません。
腫瘍のグレードとは、がん細胞が正常な大腸細胞にどれだけ似ているかを示す指標です。これは、顕微鏡下で腫瘍がどの程度腺のような構造を形成しているかによって決定されます。
悪性度の高い腫瘍は、より攻撃的で転移しやすい。病理報告書の中には、グレード1と2を2段階に分類する簡略化されたシステムを使用しているものもある。 低級 3年生と4年生は 高級どちらのシステムも同じことを示しており、医師は他のすべての所見と合わせて結果を解釈します。
結腸腺癌の中には、ゲル状の物質を大量に産生するものがあり、 ムチン腫瘍の50%以上が腫瘍細胞を取り囲む粘液プールで構成されている場合、それは 粘液性腺癌このサブタイプはやや独特な生物学的特徴を持ち、ミスマッチ修復欠損症との関連がより一般的です。報告書に粘液性特徴または粘液性分化が記載されている場合は、粘液性腺癌に関する別のガイドを参照して詳細な説明を確認してください。
侵略 腫瘍が結腸壁にどれだけ深く浸潤しているかを示します。腺癌は最も内側の層、つまり 粘膜 そして、次第に深い層へと広がっていく可能性がある。
腫瘍が到達する最も深い層は 侵略のレベルこれは、病理学的腫瘍病期(pT)を決定するために使用されます。腫瘍がより深い層に成長するにつれて、リンパ節や遠隔臓器への転移の可能性が高まります。
腫瘍芽形成とは、腫瘍の進行端から分離して生じる単一の癌細胞、または最大4個の細胞からなる小さな細胞塊を指します。顕微鏡下で最も活動的な領域における芽の数を数え、スコアを割り当てます。 低いです, 中間のまたは 高いです腫瘍芽形成スコアが高いほど、リンパ節転移や癌再発のリスクが高くなり、手術後の追加治療に関する決定に影響を与える可能性がある。
リンパ管浸潤とは、がん細胞がリンパ管(体液を近くのリンパ管へ排出する小さな血管)内に存在することを意味します。 リンパ節これらの管の中に腫瘍細胞が見つかった場合、癌が近くのリンパ節に転移している、または転移する可能性が高いことを示唆します。病理医は、 免疫組織化学 これらの微細なチャネルを強調し、その関与を確認するために、特殊な染色剤を使用する。
血管浸潤 これは、血管内に癌細胞が存在することを意味します。これは、結腸壁内で発生する可能性があります(壁内血管浸潤)または壁の外側の周囲の脂肪組織(壁外血管浸潤どちらも、肝臓や肺などの遠隔臓器への癌の転移リスクの上昇と関連しています。中でも、壁外血管浸潤は特に重要視されており、存在する場合は特に注意が必要です。この所見を確認するために、特殊染色が用いられることがあります。
神経周囲への侵入 これは、がん細胞が神経に沿って、あるいは神経の周囲で増殖していることを意味します。この特徴は進行した腫瘍でより多く見られ、治療後にがんが転移したり再発したりするリスクが高いことと関連しています。病理報告書には、神経周囲浸潤が確認されたかどうかが記載されます。
体はしばしば腫瘍に対して免疫反応を起こし、 リンパ球 そして他の免疫細胞が腫瘍を取り囲み、浸潤します。腫瘍内および腫瘍周辺の強い免疫反応は一般的に良好な兆候であり、より良い結果と関連しています。 クローン病様反応 腫瘍の外縁部に免疫細胞が集積していることも、予後良好と関連している。これらの免疫学的特徴は、ミスマッチ修復欠損を伴う腫瘍でより多く見られる。
マージン 切除縁とは、手術中に除去された組織の切断面のことです。病理医は切除縁を検査し、腫瘍が完全に除去されたかどうかを判断します。
結腸手術では、関連するマージンには以下が含まれます。 近位縁と遠位縁 (切除された腸管断片の2つの切断端) 腸間膜縁 (血管に沿った軟組織表面)、そして直腸癌では 周縁切除断端(CRM)腫瘍に最も近い非粘膜表面。
患者によっては、腫瘍を縮小させるために手術前に化学療法や放射線療法(術前補助療法と呼ばれる)を受ける場合があります。手術後、病理医は残存する腫瘍の量を評価し、治療効果スコアを割り当てます。
完全奏効またはほぼ完全奏効は、予後良好と関連している。
腫瘍沈着物 結腸または直腸周囲の脂肪組織に見られる小さな癌細胞の結節で、主腫瘍の外側にあり、認識可能なリンパ節内にはありません。これらは局所的な広がりを示し、予後不良因子です。腫瘍の沈着は存在するがリンパ節に癌がない場合、リンパ節病期は次のように分類されます。 pN1cリンパ節転移も認められる場合は、リンパ節転移の病期は転移したリンパ節の数に基づいて決定され、腫瘍の沈着も治療方針に影響を与えるため記録される。
リンパ節 リンパ節は、リンパ液を濾過する小さな免疫器官です。手術中、切除された結腸の一部(腸間膜)に付着している脂肪組織内のリンパ節が病理医によって検査されます。検査報告書には、検査されたリンパ節の総数と、癌細胞が含まれているリンパ節の数(もしあれば)が記載されます。
リンパ節転移は、病理学的リンパ節病期(pN)を判定し、手術後に化学療法を推奨するかどうかを決定する上で最も重要な要素の1つです。リンパ節に癌が見つかった場合、報告書には最大の転移巣の大きさや、癌がリンパ節の外壁を突き破っているかどうか(これをリンパ節転移と呼びます)も記載されることがあります。 節外拡張予後が悪い。
バイオマーカー バイオマーカーとは、腫瘍細胞の測定可能な特徴(通常は特定の遺伝子またはタンパク質)であり、医師が癌の挙動や治療への反応性を理解するのに役立ちます。バイオマーカー検査は現在、大腸癌の管理における標準的な手順となっており、その結果は治療方針に直接影響を与えます。検査は通常、以下の方法で行われます。 免疫組織化学 (タンパク質を検出する)およびPCRなどの分子検査または 次世代シーケンシング (腫瘍DNAを分析する)
ミスマッチ修復タンパク質 これらは、DNAの小さなエラーを修復する細胞システムの一部です。これらのタンパク質の1つ以上が MLH1, PMS2MSH2、またはMSH6が腫瘍細胞に存在しない場合、その結果は ミスマッチ修復欠損(MMR欠損またはdMMR)、 としても知られている マイクロサテライト不安定性高(MSI-high)すべてのタンパク質が存在する場合、結果は MMR機能保持者(pMMR).
これは大腸がんにおいて臨床的に最も重要なバイオマーカーの1つです。なぜならMMR欠損腫瘍は 免疫療法 (ペムブロリズマブなどのチェックポイント阻害薬)はMMRを阻害するが、MMR機能を有する腫瘍は通常MMRを阻害しない。MMR欠損は、MMR欠損がMMR阻害薬を阻害する原因となることも示唆している。のynch症候群として これらの遺伝子のいずれかに遺伝性の変異があると、患者本人と家族に影響を及ぼします。MMR欠損が遺伝性か散発性かを判断するために、BRAF遺伝子やMLH1プロモーターの過剰メチル化検査などの追加検査が通常行われます。
MLH1とそのパートナーであるPMS2が失われた場合、最も一般的な説明は、 MLH1 遺伝子と呼ばれる MLH1プロモーターの過剰メチル化この変化は腫瘍細胞のみで獲得されるものであり、遺伝するものではありません。これは散発性(非遺伝性)MMR欠損症の最も一般的な原因です。MLH1の過剰メチル化が認められた場合、通常はリンチ症候群である可能性は低いと考えられますが、これを確定するためにBRAF V600E変異(下記参照)も検査されるのが一般的です。
KRASとNRASは細胞増殖シグナルを制御する遺伝子です。どちらかの遺伝子に変異があると、増殖シグナルが常に活性化され、重要なことに、腫瘍は特定の標的療法に対して耐性を持つようになります。 抗EGFR薬 (セツキシマブやパニツムマブなど)。そのため、これらの薬剤の使用を検討する前に、KRASおよびNRASの検査が行われます。大腸がんの約半数にKRASまたはNRASの変異が認められます。検査結果報告書には、各遺伝子に変異があるか、野生型(変異が検出されない)かが記載されます。
その ブラフ この遺伝子は、KRASおよびNRASと同じ成長経路の一部である。 BRAF V600E変異 大腸がんの約8~10%に見られ、より悪性度の高い挙動と予後不良に関連しています。KRAS/NRAS変異と同様に、抗EGFR療法への抵抗性を予測します。重要なことに、BRAF V600E変異は散発性MLH1過剰メチル化と強く関連しており、存在する場合はMMR欠損の原因としてリンチ症候群を効果的に除外します。進行期のBRAF変異腫瘍は、BRAF標的併用療法の候補となる可能性もあります。
大腸がんのごく一部、特にKRAS、NRAS、またはBRAF変異のないがんでは、 HER2 HER2遺伝子が増幅すると、腫瘍細胞上にHER2タンパク質が過剰に発現する。HER2陽性大腸がんはHER2標的療法に反応する可能性があり、特に他の治療選択肢が尽きた進行期または転移性疾患において、HER2検査の実施が増加している。結果は0、1+、2+、または3+で報告され、3+が陽性とみなされる。2+の結果は判定保留であり、遺伝子増幅を確認するために追加検査が必要となる。
PIK3CA変異とPTEN欠損はともに増殖シグナル伝達経路に影響を与え、抗EGFR療法の効果を低下させる可能性がある。PIK3CA変異は大腸がんの約10~20%に見られる。いくつかの研究では、これらの変異を有する患者は手術後にアスピリンを服用することで効果が得られる可能性が示唆されているが、これはまだ標準的な治療法ではない。PTEN欠損は免疫組織化学検査または分子検査で検出できる。これらのマーカーは、治療選択が複雑な進行がんにおいてより一般的に評価される。
PD-L1は、一部の腫瘍細胞が免疫攻撃を回避するために産生するタンパク質です。PD-L1検査は、免疫療法が検討されている場合に実施されることがあります。結果は多くの場合、 総合ポジティブスコア(CPS) 腫瘍細胞と免疫細胞の両方における発現を反映している。大腸がんにおいては、一般的にMMR欠損の方が免疫療法への反応をより確実に予測できるが、PD-L1の結果は、一部の臨床状況において追加的な情報を提供する。
大腸がんにおけるこれらのバイオマーカーおよびその他のバイオマーカーの詳細な説明については、こちらをご覧ください。 バイオマーカーと分子検査 のセクションから無料でダウンロードできます。
病理学的病期分類は、手術検体の検査に基づいて癌の進行度を記述するものです。国際的に認められた基準を使用します。 TNMシステム原発腫瘍(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移を考慮すると、 転移 (M)病理医がpTおよびpN病期を判定し、M病期は通常画像診断によって判定される。
結腸腺癌の予後は、複数の要因が複合的に作用して決まるため、単一の所見だけで全体像を把握することはできません。最も重要なのは、病理学的病期、特に癌が結腸壁に限局しているか、リンパ節や遠隔臓器に転移しているか、そして腫瘍が切除縁が陰性で完全に切除されたかどうかです。
局所性疾患(リンパ節転移がなく、大腸壁に限局した癌)の場合、予後は概して非常に良好で、ほとんどの患者が手術後に長期的な治癒を達成します。リンパ節転移がある場合は再発リスクが高く、手術後の化学療法が推奨されることがよくあります。進行性または転移性疾患には全身療法が必要となり、予後はより多様ですが、新しい治療法が利用可能になるにつれて改善し続けています。
予後に影響を与えるその他の要因としては、腫瘍の悪性度、リンパ管浸潤または神経周囲浸潤の有無、腫瘍芽形成スコアの高さ、壁外血管浸潤、および分子学的特徴などが挙げられます。例えば、MMR欠損は、局所性疾患においては一般的に良好な予後と関連していますが、進行性疾患においては免疫療法の効果を強く予測する因子となります。治療チームは、これらのすべての要因を総合的に考慮した上で、患者さんの予後について話し合い、治療計画を立てます。
診断後、医療チームは病理報告書、画像検査結果、および患者の全身状態に基づいて治療計画を立てます。チームは通常、外科医、腫瘍内科医、放射線腫瘍医、および病理医で構成されます。治療は、病期、腫瘍の特徴、およびバイオマーカーの結果によって異なります。
ほとんどの患者にとって、腫瘍を含む結腸の一部とその近傍のリンパ節を切除する手術が主な治療法です。病期や腫瘍の特徴から再発リスクが高いと判断される場合は、手術後の化学療法(補助化学療法)が推奨されることがあります。特に直腸がんや局所進行がんの場合、手術前に化学療法や放射線療法を行い、腫瘍を縮小させることもあります。腫瘍にMMR欠損、HER2増幅、BRAF変異などの特定のバイオマーカーが認められる場合は、標準治療の一環として、あるいは臨床試験の一環として、免疫療法や分子標的療法について腫瘍専門医が検討する場合があります。
治療後は、定期的な経過観察が行われます。これには、外来受診、血液検査(腫瘍マーカーであるCEAを含む)、定期的な画像検査などが含まれます。大腸内視鏡検査は、新たなポリープの発生や早期再発の発見に用いられます。大腸の大部分を切除した場合は、担当チームが腸機能と栄養状態もモニタリングします。
病理検査報告書には、今後の治療方針を決定する上で重要な情報が含まれています。以下の質問は、次回の診察の準備に役立つでしょう。